古田 誠
ある方の旅ブログの中で、「空飛ぶ車いす」の運動を知りました。
それから、何度か渡航の度にエントリーするものの、受取先の調整がつかず断念。
今回のお届けは、自分で受取先まで手配しようというところからはじまりました。
目的は観光だったのですが、旅の目的地にミャンマーを選んだ理由は一つ、現在注目されている「ロヒンギャの問題」について、少しでも現地の情報を知り、自身ができる事を確かめたかったからです。
その目的も、最終的には「車いすを届ける」事に変わっていました。
届け先については、私の勤める会社がJCV(世界の子どもにワクチンを日本委員会)と接点があり、JCVのご紹介でAAR Japan(難民を助ける会)と接点をいただきました。AAR Japanからヤンゴンの事務所に問い合わせていただいたところ、「ミャンマーでは自国生産の車いすもなく、車いすの提供はたいへん嬉しい!」という回答をいただきました。受取先が決まったのは良かったのですが、その後、運送業者の関係で車いすを修理した高校から関西空港への発送ができないことが判明。最終的には日本社会福祉弘済会様のご調整で、私の自宅まで車いすを送っていただき、自力で関空まで持ち込むことができ事なきを得ました。
当日は、自宅から最寄り駅までは車いすを担いで移動し、京都駅から特急「はるか」にて関空へ。空港では、今回中国国際航空にお世話になりましたが、事前確認もできていたのでスムーズにチェックインできました。
1月1日の朝から移動し、北京経由でヤンゴンに到着したのは当日の22時過ぎ。タクシーで宿に到着。あまりにも車いすに集中し過ぎて、自分の荷物をタクシーに忘れてしまったのは笑い話です。
1月2日、AAR Japanヤンゴン事務所の職員の方に、宿まで車で来ていただき、無事に職業訓練学校へお届けすることができました。多くの方の善意をリレーする事ができ、たいへん感慨深い気持ちになりました。
AARジャパンの職員との写真
ミャンマーの障がい者職業訓練施設は、元々軍人で怪我をされた方を対象に運営されていたようですが、今回お届けした訓練学校は、ミャンマー政府とAAR Japanが共同で運営されていて、主に先天的に障害をお持ちの方が対象の学校でした。
私は全く知識がなかったのですが、ミャンマーは敬虔な仏教国であり、また思想の中にカルマの考え方があるため、障害を持って生まれる方は前世の行いが悪かったと捉える風潮があるそうです。そのため障害を持つ方は家族に隠され、学校にも行けずひっそりと生きていく方がこれまでは多かったようです。今回お届けした学校は、先生自身も障害をお持ちで、その方々が生徒を教えます。この学校で生徒たちは、手に職をつけるだけでなく、明るく前向きに生きる勇気を手に入れるようです。皆さん、生き生きしていました。
先生と車いす利用者
車いす利用者
学校では、「理容」「縫製」「パソコン」の3科目を教えていて、こちらを元に独り立ちされていきます。
今回の経験を通して、空飛ぶ車いすに関われたのみならず、ミャンマーを違った角度から見る事もでき、ロヒンギャ問題への理解へもつながった気がします。
昔に比べて航空運賃も安くなり、海外へ向けて仕事や旅行での人の動きも活発になりました。
このような活動が更に膨らんでいく事を期待すると共に、しっかりと自身でも発信していきたいと思います。
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