空飛ぶ車いす
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成人式でつながった『ボランティアの輪』

 平成21年度山形市成人の祝賀式実行委員 2010年7月

〜みんなの力が集まれば、大きな力になる 〜 荒井 真衣
(東北文教大学付属幼稚園)
  成人式の実行委員になり、「空飛ぶ車いす事業」に参加するために書き損じハガキ回収に協力することになりましたが、「ハガキを持ってきてくれる人は少ないのではないか」と心配していました。私自身も含め、ボランティア活動というのは無縁でしたから、いくら成人式で呼びかけてもたいした数は集まらないのでは?と思っていたのです。
  でも、いざ当日の会場には、予想以上の仲間がこの活動に参加してくれ、ビックリ。実はみんな人のために少しでも役立てることをしたい優しい気持ちを持っていることを改めて知りました。
  そしてそれ以上に体感できたのが、みんなの力が集まれば大きなパワーになることです。ボランティア活動といっても、一人ひとりが集められる書き損じハガキの数はたいした数ではありません。でもたくさんの人が参加することによって大量のハガキを集めることができ、海外の子どもたちに車いすを届けられるという事実。成人式の仏目に、こんな活動に自分が参加できたことを誇りに思います。



〜 かけがいのないものの一片(ピース) 〜 渋谷 哲史
(山形大学3年)  
  成人式におけるテーマを「無二 〜かけがえのないもの〜」としたことから、私たちのボランティア活動はスタートしました。普段あまり気づかないだけで、「かけがいのないもの」は周りにたくさんあります。海外に目を向ければ、生きていくだけで精一杯な人たちもたくさんいる。成人式の活動として、せめてアジア諸国の人々の「かけがえのない足」になる車いすを届けるお手伝いができたなら…実行委員のメンバーの総意で、そう考えたのです。
  成人式の時期が正月明けということもあり、期待以上に多くの書き損じハガキを収集することができました。これら集められたハガキの一枚一枚には、参加者からの思いやりの気持ちが込められていたと思います。
  大切なことは、参加者全員が「かけがえのないもの」に携わったという達成感を持てたことでしょう。私自身この活動の中で、かけがえのないものの「一片(piece)」を見つめ続けていくことができれば、やがてひとつの大きなピース(piece)に繋がっていくのではないかと感じました。
  今回の活動で得ることができたものを、別のことでも活かし、さらにそれを膨らませていければいいなと思います。



〜 ボランティア活動で変わった自分 〜 長谷川千尋
(東北福祉大学3年)  
  いままでにさまざまなボランティア活動を見ることはありましたが、どうしても自分が本当に誰かの助けになるのかわからず、参加する意義を感じられなかったのが正直なところでした。私だけでなく多くの若者たちが、同じように感じていたのではないでしょうか。
  だから今回の企画もどれくらいの人たちが参加してくれるか、正直なところ半信半疑なところがありました。私自身もあまり多くのハガキを集めることができなかったので、なおさらでした。ところが当日、予想を遙かに超える書き損じハガキ706枚とキャップ12,200個が集められ、驚きました。
  「簡単にできるボランティア」という呼びかけが成功したこともあったと思います。でもやはり、みんなが集めたハガキやキャップがタイ・インドネシア・スリランカの子どもたちに車いすを届ける費用になるというわかりやすい図式が、みんなの心にヒットしたのに違いありません。
  自分のしたほんの些細なことが、実際に目にみえる形となり、誰かを助けることができるのだという実感。つまり、ボランティアの意味が誰にも理解できたのです。私は今回の体験を通じて、ボランティアへの意識が変わったと思います。より積極的に、人のためになる活動に対して関わっていこうと思いました。



〜 社会に貢献できた成人式の最高の思い出 〜 渡邊 由枝
(東北芸術工科大学3年)
  成人式というと、飲酒して騒ぎ回る一部の幼い人たちばかりが注目されがちですが、そんなイメージを覆したい思いで「書き損じハガキ収集活動」に取り組みました。日本で使われなくなった車いすを、工業学校や大学の学生のみなさんがボランティアで修理・再生して、アジアの子どもたちに贈るという素敵な企画に実行委員一同が賛同したからです。
  今回の成人式の「書き損じハガキ」収集活動によって、車いす5台分のノーパンクタイヤを購入できたそうです。私たちの考えた企画が見知らぬ人々に希望を与え、知らないところで救われた人がいるという事実。自分たちにもそんなことができたのかという驚きと、ささやかですが無意識のうちに社会に貢献できたという自負心。この喜びを、今後も多くの人たちに伝えていきたいと思います。二十歳になった記念に、最高の思い出ができました。
  そして、もうひとつのうれしいエピソードがあります。この成人式の参加者の一人にたまたま神奈川工科大学の学生がいて、偶然にも彼が所属するサークルで、この車いすの修理を引き受けることになったそうなのです! 実に不思議な縁ですね。彼はみずからタイに渡って、修理活動のボランティアも行う予定だとか。成人式の私たちの小さな企画が、まさに空を飛ぶように今後も大きく拡大していくことを私自身、本当に楽しみにしています。